おれにゴタクを並べさせる世の中は間違っている

いつ死ぬかわからないので過去に書いたモロモロの文章をまとめてみました。

●クセがすごい。(2018年11月6日)

行きつけの雀荘に最近やってきたおっちゃんがいる。彼は週末の競技麻雀の大会に片っ端から出場されているような方で、こっちとしても悪い感情はない。むしろいい人だろうと思う。本人も悪気はまったくないのだろう。いや、悪いとこなど別にない。明るいし、負けても笑顔だし、いい。

いいんだが、とにかく「クセがすごい」のだ。

麻雀は発声をする競技であることはご存じでしょう。「リーチ」「ポン」「チー」「カン」「ツモ」「ロン」の6つをハッキリと発声することはマナーの基本。

「チー」の一般的な言い方は、「チーズ」という時の「チー」です。あるいはアルファベットの「C」と同じ。「イ」の音が下がる。おれのような鳴き麻雀野郎は「チッ」という感じで言うこともある。みなさんも言ってみましょう。「チ↑イ↓」。はい結構です。

で、そのおっちゃんの「チー」は、文字にすると「チイイイ」。「チ」から始まって「イイイ」と段々上がっていくのだ。「チ↓イイイ↑」。アクセントとしては、「はぁ?」って聞き返す時のあのアクセント。

クセじゃぁ…発声のクセがすごいんじゃぁ…。

「ポン」「ロン」の場合。「ポン」はまあ普通は「本」と同じアクセントで小気味良く、「ポン!」と言う。

で、そのおっちゃんの場合はというと、「ポォン↑」って、上がるんじゃー!「保温」みたいに聞こえるんじゃー!

クセじゃぁ…クセなんじゃあ…

 

無発声とか遅れてるワケではないので責めることもできないし、本人すごく明るくていい人っぽいんで何とも言えんのですよ。

それより何より、おれはこの人が発声するたびに笑いをこらえるのに必死で、それこそ「すん!」って感じで唇噛んで飲み込んでいる。で、大抵、後ろで店長がニヤニヤしながらおれを見ている。もう、本当にクセが凄くて笑っちゃって仕方ない。

返す返すも千鳥の「クセがすごい」ってのは名フレーズだと思う。ウザい、キモい、イヤだ、キライだ、不快だ、ではなく「クセがすごい」としか言いようがない人っているんだなと(笑)本当に念をおしておくと、その彼をバカにしているわけじゃないし、不快な思いもしてないし、悪意もないのです。

ただ、とにかく、「クセがすごい」。(2018年11月6日)

 

【2020年6月の追記】
この方、のちにプロ団体の試験を受けてプロになった。最近会ってない。