おれにゴタクを並べさせる世の中は間違っている

いつ死ぬかわからないので過去に書いたモロモロの文章をまとめてみました。

テレビ映画

おれんちは両親ともにお笑いやら映画やら音楽…まぁサブカルかね…が好きで、いわゆる「あれは見ちゃいけません」式の教育は一切受けないという、あの時代にしちゃ大変な英才教育を受けました。

で、オヤジもオフクロもテレビ映画に関しては荻昌弘の『月曜ロードショー』が贔屓だった。文化的なこと大好きでありながら軽佻浮薄な性格と身分だったせいで、多分、荻昌弘という安定感のあるインテリというものへの敬意があったんだろうと思う。特に荻昌弘の007シリーズの解説が子供心に大好きだった。おれの印象かもしれないが、007シリーズの時だけ荻昌弘が「さぁ、みなさんお待ちかね…」って枕詞をつける。そして始まるあのワクワクするオープニング。「ああ、こりゃお待ちかねなんだ…」というコードを漠然と理解できた(でも、やっぱり『ロシアより愛を込めて』のベッドシーンとか、『この子の七つのお祝いに』とかは途中でやめてた)。

ちょうどロッキーの放送の翌年にばあちゃんが死に、両親は別居し、オヤジとおれの『クレイマー、クライマー』のような時代が始まると、週末にバクチに興じて帰宅が遅くなるオヤジのおかげで、『ゴールデン洋画劇場』を見るようになる。
今思えば、こっちの枠でいわゆる映画秘宝的な「ボンクラ映画魂」の作品を摂取できたな、と思う。グロあり(『血のバレンタイン』)、エロあり(『超能力学園Z』『プライベート・レッスン』『エマニエル夫人』)、恋あり(『青い珊瑚礁』)、夢あり(『マジック・ボーイ』『星から来た仲間』)、笑いあり(『ピンク・パンサー』『ブルース・ブラザーズ』『Mr.BOO!』)、そしてドキドキあり(ジャッキー・チェン一択に決まっとる)…もし、荻先生の方だけを見ていたら今のおれの映画趣味にはならなかったかもしれない。

水野晴郎の『水曜(金曜)ロードショー』は今ではジブリばっかやってるが、考えてみりゃ「老いも若きもキャッキャと楽しむ」というコンセプトは変わってない気がする。「刑事コロンボ」「エアー・ウルフ」などのTVドラマのスペシャル版に、西部劇、『猿の惑星』シリーズに、『スター・ウォーズ』、おれのオールタイムベストに入る『スプラッシュ』…

荻昌弘→名作映画、高島忠夫→ボンクラ映画、水野晴郎→エンタメ映画という棲み分けが出来ていたような気がする。そして12チャンネルはB級、グラインドハウス気味な映画だったよな。『なんとかアマゾネス』だ『青い○○』だ『ハエ男の恐怖』だ『巨大アリの帝国』、そして半日で学校から帰ってきて見る『2時のロードショー』…。タランティーノの『デス・プルーフinグラインドハウス』のコンセプトを日本でやるとしたら、絶対テレビ東京のテイストだと思う。

それにしても、昨今、テレビ映画が個性がなくてつまらないな。

しかし、淀川さんとこに案外思い出がないな。いかに映画好きとして劣等生か、という…w