おれにゴタクを並べさせる世の中は間違っている

いつ死ぬかわからないので過去に書いたモロモロの文章をまとめてみました。

●ドラマ『祭ばやしが聞こえる』、あるいは「落車」論(2016年9月20日)

ショーケン演じる28歳の競輪選手「まくりの直次郎」こと沖直次郎は将来を嘱望される競輪選手だったが、ある日のレースで落車して重傷を負って長期欠場となり、先輩のマーク屋・高橋(山崎努)の実家である富士吉田の民宿に逗留しながらリハビリ生活を始め…

●文科系のためのKEIRIN入門【応用編】 「選手コメント読解の基本」(2013年9月16日)

今回は、基礎知識を身につけていただいた前提で、最初に書いた「競輪新聞という読み物」というところに戻ります。そもそもこの「連載」も「競輪は言葉の持つ力が重いゲームという点で、本や映画を愛する文科系こそ楽しめるハズ」ということからはじめたもの…

●文科系のためのKEIRIN入門⑥ 風と意志と義理人情 2013年9月14日 

「競輪予想で最初にすることは、誰が最初に飛び出して先行をするかである」ということは説明しました。 誰かが、先行逃げ切りという華々しくもチャレンジングなことに挑まなければ、レースは動かない。穏便なことだけをやっていては世界は動いて行かない、あ…

●文科系のためのKEIRIN入門⑤ 「誰が風を見たでしょう?」2013年9月13日 

さて、前回は「ライン」というのはどういう思惑で決まるか、について説明しました。出身地と「絆の濃さ」、そして何を目標に走るかによって選手は「打算的に」ラインを作るのでした。模擬レースとして、AKBを使って、以下のようなラインになりました。 ★大宮…

●文科系のためのKEIRIN入門④ 「風は吹いている」2013年9月13日

のっけから重要なことを言います。 競輪で一番有利なのは、強い逃げ選手のすぐ後ろである。→「番手」と言います。 一見すると一番強い逃げ選手が一番有利に思いますが、考えてみてください。逃げ選手は逃げ続けないと勝てませんから、最後の1周ちかくをほぼ…

●文科系のためのKEIRIN入門③ 「勝つのは誰だ、勝利とは何だ」(2013年9月12日)

まず、この2009年の競輪CMをご覧ください。 KEIRIN CM 勝つのは、誰だ。勝利とは、何だ。 このCMは、色々な立場の人を競輪選手に、そして彼らの人生をレースに見立て、「自分たちが何を目指して走っているのか」を語らせているという、実に味わい深…

●文科系のためのKEIRIN入門② 「選手は何と闘っているのか」(2013年9月11日)

前回は「競輪新聞」の言語空間について説明しました。実は競輪新聞の持つ言語空間、言い換えれば言葉というものの価値の重さというのはこんなもんではありません。ハッキリ言えば、あの紙1枚で一晩ヒマがつぶせる程の「読み物」なのであります。これについ…

●文科系のためのKEIRIN入門① 「競輪新聞とは?」(2013年9月9日)

昨日のタマフル競輪特集、宇多丸が玉ちゃんと函館競輪に行って以来、そこそこの熱量で競輪を面白がっていて、その最初の食いつきが「競輪新聞という独特の面白さを持つもの」だってのがさすが文系映画好き活字好きの人だなあと思った。これ、おれも全く同じ…

●「美人画」と「萌え絵」(2013年10月3日)

さっき、弓月光デザインのガールズ競輪ユニフォームの女イラストがいいと写真をシェアしたんだけれども、いわゆるアニメ好きの人の「二次元萌え」ってヤツとか、「萌え絵」ってのは相変わらず分からないでいる。 まあ何しろ、まともにアニメと向き合ったのが…

●あたしはここよ(2013年9月13日)

オフクロが履物屋の店を閉めてかれこれ10年近くになる。 大宮の駅前で履物屋をやっていた婆ちゃんの遺志をついで、オフクロが家計のタシにやっていた。末期はクリーニングの取り次ぎもやっていたので、駅前のホストやら、キャバのシングルマザーの女やら、…

●旅と、殿山泰司と、『あまちゃん』と。(2016年4月16日)

九州から帰ってはや1週間。ゴボ天うどん食いたくて食いたくて震える(西野カナ)なおれです。 ところでおれの旅のバイブルのような本が3冊ありまして… 一つは何度となく書いているけれど山口瞳の『草競馬流浪記』。1980年代バブル前夜の日本の、滅びゆ…

●山口瞳『草競馬流浪記』(2014年11月16日)

草競馬流浪記 (新潮文庫) 作者:山口 瞳 メディア: 文庫 何度となく書いているのだけれど、この本はおれの中でバイブル的に好きな作品であります。昭和の文壇の香りがする最後の世代の作家である山口瞳が、全国の地方競馬場をすべて巡るといういわゆる「旅打…

●コロナ禍の中で起きたある事件(2020年5月1日)

コロナがらみで麻雀界で事件が起きている。 昨年、ある団体の王座についたSというプロがいた。彼は昨今の麻雀プロのようなタレント性などのあるタイプではなく、麻雀に対する姿勢のひたむきさや真面目さでは有名で、団体の理事などをやって若手を鍛えたり、…

●黒川検事長は本当に麻雀が好きだったんじゃないか論(2020年6月3日)

黒川検事長はもしかすると本当に麻雀が好きなんじゃないか。 だって、この状況下で2回やるってすごいもの。それ以前から毎月定期的に打ってその都度次の日程決めてやってて、ある程度の信頼関係あるハズで、この時期他の方法で取材できたハズなのに、卓囲ん…

●太田的/吉田的(2016年8月16日)

吉田類(以下「吉田」)と太田和彦(以下「太田」)のどちらを酒飲みとして支持するか?という問題は現在の日本の選択すべき大きな問題の一つであることはこちらをお読みの方々だけには周知の事実であり、当方は太田和彦も心の底から好きだけれど、もし仮に…

●原武史『<出雲>という思想 近代日本の抹殺された神々』(2014年1月18日)

今日のように初詣に行ったり、サッカーや競輪で氷川神社にたまに行くとそのデカさに驚く。小さいころから学校行事や祭りや縁日や遠足やなんやかんやと氷川神社と大宮公園には行き慣れていたせいで何とも思わなかったけど、大人になって大宮を離れて改めて行…

●今夜もどこかで『スナック幸』はやっている(2017年4月9日)

おれの上司でありタッグパートナーのKさんは梶原信者でありプロレス者なので、いろいろ不平不満はあれど根本の部分で信用しているのだが(そうでなかったらとっくに辞めてらあ)、彼に「この休みに泪橋に行ってきましたよ」って話をしながら写真を見せたら、…

●郷愁(2013年3月5日)

大宮競輪場にて おれのオヤジはおれのような趣味的でない、真のバクチ好きなので、当然大宮競輪場にも通っていた。だから、中野、井上、滝沢なんて名前はなぜか知っていた。 その頃の競輪場ってのはものすごく盛っていて、競輪開催日の夕方はおれんちの裏の…

●映画『ムーンライト』(2017年12月24日)

この作品、とにかく映像的に美しい。それは実は映画技術として極めて実験的な最新のワザを使っているとのことなのだがその説明は置いておく。とにかく、光と影、アフリカ系の肌の色の美しさ、マイアミの太陽と海の美しさ。色調のベースは青なんだが、とにか…

●映画『ちはやふる』(2018年4月16日)

日本映画専門チャンネルで『ちはやふる』の一挙放送があったので改めて見た。前々からおれの周りにも薦めているんだけれど、これは「スポーツ映画」あるいは「ジャンル映画」の傑作に入ると思う。 www.youtube.com まず、広瀬すずという傑物の魅力。それは美…

●雀鬼・桜井章一を考える。(2018年2月13日)

アベマの麻雀チャンネルでRTDとか見ていて思うのだが、「スーパーデジタル」小林剛の麻雀と「自己啓発オカルト麻雀」桜井章一の麻雀って巡り巡って近いのではないかしら。誰に向けて書いてるのかね。 雀鬼サマへの道 (1) 実践! 雀鬼流手ほどきの書 【初級…

●アニメ『あの日見た花の名前を僕たちはまだ知らない』~言霊論~(2012年6月12日)

『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない』鑑了。もう、わかっちゃいたけど、わかっちゃいたけども、案の定、ちれーな涙が出たよ。こんなおれにもこんな涙が流れるのかというね。何かもう、ここまで来ると汚ねえよ!政策委員会!電通!野暮を承知で大仰な…

●競輪と自然(2012年9月5日)

おれは競輪が好きなのだけど、前にも書いたことがありますが、おれが競輪が好きな大きな理由の一つに「競輪場のコンクリート感が好き」ってのがある。そもそもおれは街育ちのせいか、京浜工業地帯とか、磯子のコンビナートとか、船橋のイケアのあたりとか葛…

●アオケイの竹林さん(2012年3月19日)

ヘンな癖で、おれは実家に戻るとテレ玉しか見ない。とりわけ、競艇もオートもやらないのだが、『バッハプラザ』を必ず見る。これは昔からのクセで、『サザエさん』が週の終わりを告げるように、あの番組が一日の終わりを告げる時の鐘のような役割をしている…

●新美南吉はブルースである(2017年4月6日)

以前、『ごんぎつね』を読んだ小学生が、「悪いことをしたんだからごんは撃たれても仕方がない」みたいなことを書いてきてショックだった、という国語の先生の話がネットにあったのを覚えているんだけれど、おれに言わせれば、そういう解釈ができてしまうと…

●南野陽子を聴いていて、ふと国語教育について考えた(2015年3月15日)

「昭和アイドル春ものソングランキング」を考えていて、おれの好きな南野陽子の名曲『はいからさんが通る』を思い出した。 「はいからさんが通る」南野陽子 そして、国語、つまり日本語を教えている立場としてちょっと考えたことがあるのです。 この歌の非常…

●おれとオヤジと麻雀と茅森早香(2017年7月11日)

時は1960年代。 麻雀好きの中央大学の学生ヒロシが上野から汽車に乗ると、雀荘でよく一緒になる早稲田の学生サダヨシが乗っていた。「おう」と声をかけると「あれ?おまえんちどこなの?」「大宮だよ」「おれもだよ」「へーそうなのかあ」。仲良くなった…

●賭け麻雀と『2時のロードショー』(2018年3月6日)

フリー雀荘での絶対のマナーとして「他者のアガリの批判は絶対にしない」というのがある。 セットで気心知れた連中なんかとやる時は「んだよそのクソリーチはよう」なんて言いながらやったりするのが楽しいんだが、フリー雀荘というのは知らない人と打つので…

●さようなら、ミスター・ブルースカイ(2018年6月14日)

小島武夫の麻雀は古い。古いどころか、その当時から「勝てる」打ち方ではなかったことはもろもろの文献や牌譜からハッキリしている。おれも小島武夫は宇宙一カッコイイと思っているが、打ち方をいいと思ったことはない。 街場の雀荘には小島武夫よりも強くて…

●梶原一騎『男の星座』(2014年9月10日)

男の星座1 作者:梶原 一騎,原田 久仁信 発売日: 2014/05/27 メディア: Kindle版 知らない方に説明すれば、『男の星座』っていうのは梶原一騎の自伝的作品で、力道山、大山倍達、木村政彦、ルー・テーズといった自分が見上げて来た「星座」たちを巡る物語なん…