おれにゴタクを並べさせる世の中は間違っている

いつ死ぬかわからないので過去に書いたモロモロの文章をまとめてみました。

読書

●旅と、殿山泰司と、『あまちゃん』と。(2016年4月16日)

九州から帰ってはや1週間。ゴボ天うどん食いたくて食いたくて震える(西野カナ)なおれです。 ところでおれの旅のバイブルのような本が3冊ありまして… 一つは何度となく書いているけれど山口瞳の『草競馬流浪記』。1980年代バブル前夜の日本の、滅びゆ…

●山口瞳『草競馬流浪記』(2014年11月16日)

草競馬流浪記 (新潮文庫) 作者:山口 瞳 メディア: 文庫 何度となく書いているのだけれど、この本はおれの中でバイブル的に好きな作品であります。昭和の文壇の香りがする最後の世代の作家である山口瞳が、全国の地方競馬場をすべて巡るといういわゆる「旅打…

●原武史『<出雲>という思想 近代日本の抹殺された神々』(2014年1月18日)

今日のように初詣に行ったり、サッカーや競輪で氷川神社にたまに行くとそのデカさに驚く。小さいころから学校行事や祭りや縁日や遠足やなんやかんやと氷川神社と大宮公園には行き慣れていたせいで何とも思わなかったけど、大人になって大宮を離れて改めて行…

●今夜もどこかで『スナック幸』はやっている(2017年4月9日)

おれの上司でありタッグパートナーのKさんは梶原信者でありプロレス者なので、いろいろ不平不満はあれど根本の部分で信用しているのだが(そうでなかったらとっくに辞めてらあ)、彼に「この休みに泪橋に行ってきましたよ」って話をしながら写真を見せたら、…

●新美南吉はブルースである(2017年4月6日)

以前、『ごんぎつね』を読んだ小学生が、「悪いことをしたんだからごんは撃たれても仕方がない」みたいなことを書いてきてショックだった、という国語の先生の話がネットにあったのを覚えているんだけれど、おれに言わせれば、そういう解釈ができてしまうと…

●梶原一騎『男の星座』(2014年9月10日)

男の星座1 作者:梶原 一騎,原田 久仁信 発売日: 2014/05/27 メディア: Kindle版 知らない方に説明すれば、『男の星座』っていうのは梶原一騎の自伝的作品で、力道山、大山倍達、木村政彦、ルー・テーズといった自分が見上げて来た「星座」たちを巡る物語なん…

●原武史『レッドアローとスターハウス 〜もう一つの戦後思想史〜』(2013年12月12日)

世界には「赤い矢」を名乗る有名な鉄道が3つあり、一つは西武鉄道の秩父に行く特急「レッドアロー」、一つはスイスの山岳観光鉄道であり、西武線のレッドアローは秩父をスイスに見立て名付けられた。そしてもう一つは、なんとスターリン時代のソ連で開通し…

●伊藤彰彦『映画の奈落 北陸代理戦争事件』(2015年11月12日)

映画というのは総合芸術というか、「群像芸術」だと思うのですよ。監督、脚本、撮影、照明、大道具、小道具、主役、準主役、ヒロイン、脱ぎ役、脇役、殺陣師から、仕出しの弁当屋、運転手まで、関わる人の数がケタ違いに多い。 さらにこの東映実録ヤクザ映画…

「マクドナルドは猫の肉」と山口瞳

山口瞳の名著でありおれの座右の書である『草競馬流浪記』の中で、盛岡競馬に旅打ちに行くので開通直後の東北新幹線に乗るため、山口瞳が大宮駅前のマクドナルドでフィレオフィッシュを食うシーンがある。(若い衆に言っておくと、東北新幹線は最初大宮が始…