おれにゴタクを並べさせる世の中は間違っている

いつ死ぬかわからないので過去に書いたモロモロの文章をまとめてみました。

●おれとオヤジと麻雀と茅森早香(2017年7月11日)

f:id:take-zo:20200622161233j:plain

 

時は1960年代。

麻雀好きの中央大学の学生ヒロシが上野から汽車に乗ると、雀荘でよく一緒になる早稲田の学生サダヨシが乗っていた。「おう」と声をかけると「あれ?おまえんちどこなの?」「大宮だよ」「おれもだよ」「へーそうなのかあ」。仲良くなった二人は友達になり、いろんな雀荘で麻雀を打ちまくった。

ある時いつものように大宮まで一緒に帰ると、「おれんち来るか」とサダヨシにいわれたヒロシは、オヤジと喧嘩をしていて西口の家に帰りにくかったこともあり、東口の大門町のサダヨシの家に行くと、気っ風の良いお母さんフミコと、すっとぼけてるけど鼻っ柱の強い妹のマサコがいた。そして、奥の部屋ではお父さんが寝たきりで闘病中だった。

でも、気っ風の良いお母さんと気の強い妹が可愛くて、ヒロシは半ば居候のようにサダヨシの家で過ごすようになる。ケネディ大統領が暗殺された日も、アポロが月面着陸した日も、ヒロシはサダヨシとマサコと一緒に見た。

そんなヒロシは、マサコと結婚し、のちに別居し、離婚寸前までなるも、何だか変わり者の息子に麻雀と映画と落語を教え、おかげで息子はとんだ道楽者になってしまって痛し痒しだけれど、「茅森早香の打ち方が解るお前はわかってんなあ」と幸せそうに言い、今日は「おまえ、豊後葵って新人知ってるか?」「高宮まりって子はおっぱいだけの子じゃねえな、あの麻雀は本物だな」などと言ってきた。「そうだなあ」とおれは言った。

麻雀がなけりゃオヤジはオフクロとも出会えなかったし、おれも生まれてこなかった。この一点において、おれは麻雀を愛し続ける「義務」があるのかもしれないな、とおれはずっと思っている。落語も映画もそうかもしれない。でも、人との出会いがある「麻雀」というゲームだからこそ、おれはここにいる。

とりあえず、茅森早香さん女流モンド杯がんばってください。おれとオヤジが応援してます。

 

【2020年6月追記】その後、茅森早香は結婚・出産を経て、麻雀プロリーグ「Mリーグ」のセガサミーフェニックスに加入。奇しくも現在、チーム優勝を賭けてファイナルステージを首位で戦っている。昨夜の2戦目は見事にトップだった。今夜が最終戦